シミ
シミと一言ででいっても、いろいろな疾患が含まれます。保険診療の対象となるシミもあります。代表的なものを挙げます。
① 老人性色素斑、雀卵斑(そばかす)
レーザー治療が有効です。
比較的境目がはっきりしたシミです。シミと思っていたら皮膚がんであったということもあるので皮膚科的診療も欠かせません。シミが薄いとレーザーは反応しにくく、炎症後色素沈着の度合いによってはかえって濃くなる場合もありますので、薄い場合にはハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤やQスイッチレーザーやIPL(光治療)の適応になります。
そばかすは色白の女性に5~6歳以降に頬を中心に出てくる淡い褐色をした小さな斑点が多発するもので遺伝傾向があります。同じくレーザーに反応します。紫外線は悪化因子です。当院ではQスイッチレーザーやIPLを使用します。
② 遅発性太田母斑様色素斑(後天性真皮メラノサイトーシス)
Qスイッチレーザー治療が有効です。
遅発性太田母斑は幼少時からみられる通常の太田母斑(青アザ)とは異なり、左右対称性に両側に生じ、青みが少なく褐~灰褐色の5mm位までの小さい斑の多発で、時に肝斑(シミ)と間違われます。しかし、真皮内にメラノサイトの増殖があるという点では通常の青アザと同じです。青アザと同様にQスイッチレーザー治療が有効です。3ケ月以上の間隔をあけて平均4~5回の治療が必要となります。
③ 肝斑、炎症後色素沈着(ニキビ痕、アトピー性皮層炎痕、やけど痕など)
肝斑は主に30歳以降の女性の顔面(こめかみ、頬など)に左右対称性に生じる様々な色調や形、大きさのシミです。ホルモンバランスの乱れが基礎にあり、日光で悪化しますが、経口避妊薬などにても発生することがあります。
炎症後色素沈着は様々な原因にて発生しますが、赤ニキビ、やけどやかぶれの後に茶色く残るシミなどが代表的なものです。いずれもレーザーにて一度は軽い火傷の痕のように色素が脱落してピンク色になりますが、その後に以前よりも濃くなることが知られています。
これらに対してはビタミンC、ハイドロキノン、レチノイン酸などの美白剤の外用やグリコール酸によるケミカルピーリングが中心となります。
日焼け止めをきっちり使用して遮光に心がけることが普段の生活としてとても大切です。
外用剤での治療は最低でも半年から1年という期間を要します。継続することが重要です。
アトピー性皮膚炎に伴う色素沈着では、皮虐表面(表皮)でのメラニン色素の増加に加えて、引っかいたりすることによって真皮内へ色素が脱落していますので、症状のコントロールとともに上述の美白治療を行い、消退しない部位に対してはQスイッチレーザー治療(ルートロトーニング)を行うことがあります。また、美白剤などの治療に対しても刺激などを生じやすいため、様子をみながら徐々に治療を進めて行きます。イオン導入も刺激が少なくて行いやすい治療でしょう
ホクロ
ホクロの種類
◎黒子・色素細胞母斑(母斑細胞性母斑)
色素性母斑には様々なタイプがあります。
メラノサイト(色素を作る細胞)とシュワン(神経)細胞の中間的な性格を持った特殊な細胞を母斑細胞と称し、これらの細胞が一箇所に寄り集まった集団を母斑細胞性母斑と呼んでいます。母斑細胞が存在する部位によって境界母斑、複合母斑、真皮内母斑に分類されます。生下時あるいは小児期から成人期に始まって徐々に拡大し、成人に達すると隆起し始め、老年に達すると大きくなり、色調はかえって淡くなり、淡い褐色から皮膚色へと変化してゆく傾向があります。組織学的にもメラニン色素の量は下に行く(深くなる)につれて少なくなります。
◎青色母斑
青色母斑は真皮内に青色母斑細胞が多数集まり、その細胞内にメラニン色素が大量に含まれているために皮膚表面からみると青く透けて見えているのです。皮膚表面から盛り上がって、深い青色を呈しているタイプではメラニン色素に反応させるタイプのレーザー単独での治療は困難です。
- 大きくなるホクロはがんですか?
- このような心配をされて来院される方の多くは、通常のホクロ(色素細胞母斑)か脂漏性角化症です。時に皮膚ガンである基底細胞癌や悪性黒色腫(メラノーマ)が見られます。
- 通常のホクロ(色素細胞母斑)は急に大きさを増すことはありませんし、色が均一で黒~褐色、形も円形に近いことが多いです。年齢が上がるに従い、色は淡くなり周りの皮膚の色に近づいてきますし、盛り上がってきます。但し表面はなだらかです。
- 脂漏性角化症は中年以降に生じやすいイボで、顔や頭などに多発することがありますが、表面がざらざらし、周りの皮膚との境目がはっきりしています。
- これら2疾患は良性ですので、美容的に気にならなければ切除する必要はありません。
- 基底細胞癌は50歳以降の方の顔や頭などに灰~黒色のホクロ様の出来物で、表面に少し光沢(つるっとしていて透明感がある)があり、よく小さな血管が浮き出ているのを同時に認めることがあります。徐々に大きくなり、表面がくずれて出血することもあります。転移はしませんが、どんどん皮膚の下へ向かって深く拡がってゆきますので、早めに全摘出する必要があります。
- 悪性黒色腫(メラノーマ)は放っておくと転移しやすい悪性度の高い腫瘍です。目安として、形が非対称で不規則(類円形でない)、色ムラ(濃淡差)が目立つ、大きさが7mm超、などといった特徴があります。総合病院での評価と切除が必要です
- 通常のホクロ(色素細胞母斑)は急に大きさを増すことはありませんし、色が均一で黒~褐色、形も円形に近いことが多いです。年齢が上がるに従い、色は淡くなり周りの皮膚の色に近づいてきますし、盛り上がってきます。但し表面はなだらかです。
- 治療法は? 盛り上がっていない小さなホクロの場合(※現時点では取扱いなし)
- ホクロの多くは黒子(こくし)(lentigo)か境界母斑で、病変が盛り上がっているホクロよりも浅いところに限局していますので、レーザーで比較的簡単に治療できます。病変にレーザーを数発照射するだけです。軽いやけどを起こさせて病変を脱落させます。レーザーは黒い毛にも反応してしまいますので、事前に同部の剃毛や抜毛を行います。黒子の色が濃いほど痛みが強くなりますが、瞬間的な痛みで済むため表面麻酔も不要である方がほとんどです。黒子が深いタイプ(境界母斑)や色素が多くて色が大変濃いタイプでは、1カ月あけて複数回の処置が必要になる場合があります。施術後はステロイド含有軟膏を塗って肌色テープで覆うだけです。
- 治療法は? 盛り上がったホクロの場合
- ◎切除・縫縮法、くりぬき法
- 局所麻酔後にメスやトレパンと呼ばれる丸いメスなどを用いて脂肪が露出する深さで切り取ります。縫縮する方法では一般的にホクロを含めて紡錐形にデザインして縫い合わせ、ホクロの直径より約2.5倍の直線の傷になるようにします。抜糸が必要です(顔面:5~7日後、その他:7~10日後)。
- くりぬき法ではホクロより一回り大きくホクロの形に合わせて円形でくりぬき、止血して軟膏で傷を保護して終了です。大きめのものでは傷を少なく、治癒を早めるために一部縫合を併用する場合があります。軽度の陥凹や施術部が傷として光沢を持った皮膚となる場合がありますので、大きさ的に6mmくらいまでのホクロを対象にします。いずれにせよ、治療が一度で終了する可能性が高いのが利点となる方法です。
- 局所麻酔後にメスやトレパンと呼ばれる丸いメスなどを用いて脂肪が露出する深さで切り取ります。縫縮する方法では一般的にホクロを含めて紡錐形にデザインして縫い合わせ、ホクロの直径より約2.5倍の直線の傷になるようにします。抜糸が必要です(顔面:5~7日後、その他:7~10日後)。
◎サージトロン、炭酸ガスレーザー
電気(高周波メス)やレーザーを用いるのは、皮膚表面から浅く削り取る治療を繰り返すことによって、最終的に少しでも傷跡を少なく治療しようというものです。1回1回の皮膚表面からの傷は浅いので、くりぬき法などに比べると早くきれいに治ります。
しかし、皮膚の深い部位までホクロの細胞が入り込んでいるタイプでは1回では取りきれないので、複数回の施術が必要になります。治療を繰り返す際にも傷が落ち着くまでの数カ月(赤みが消えるのを目安:3~6カ月)待って、次の施術を行います。
傷痕がすこしでも少なくなるのが利点ですが、トータルの治療回数として複数回要するというのが欠点となります
シワ
しかめっ面を繰り返すと、眉間に縦ジワが次第にくっきりと出てきます。
おでこにシワを寄せることを繰り返すとおでこに横ジワが刻まれてきます。
目じりのシワをカラスの足跡と言いますが、笑いジワとも呼びます。
それぞれ、その皮膚の下にある筋肉が収縮すると、筋肉と同じようには皮膚は収縮できないのでその表面にある皮膚はたわみながら距離を縮めます。
それが「シワ」として見られるのです。
若いころには柔軟であった皮膚も年齢とともにコラーゲンの減少・変性によって柔軟性を失っていることも相まって、クセとして皮膚にシワが刻まれてきます。
これらの折れ曲がりの頻度を少なくするために筋肉の動きを抑えるのがボツリヌス菌毒素注射です。シワが出来るのを予防することになります。
出来上がりがヒアルロン酸などの充填剤(当院では取り扱っておりません)を部分的に注入してシワを浅くする方法に比べてより自然できれいな仕上がりになることが多いです。
筋肉の動きは、神経・筋接合部で神経終末からのアセチルコリンという物質の放出によってコントロールされています。ボツリヌス菌毒素はこのアセチルコリン放出を抑えるので、筋肉へ刺激が伝わらず、動きが止まります。
ただし、この作用はあくまでも一時的で、2~4ケ月もすると次第に戻ってきます。そのため、施術が気に入った場合には完全に元に戻る前に繰り返すのがより効果的です。
次第に施術間隔が伸びてゆきます。また、ヒトによっては意識しないでクセとして表情を作っていた場合(例えば、無意識のうちにしかめっ面をしていたなど)、そのクセが矯正されてしなくなるという効果もあります。
施術は作用させたい部位の筋肉に皮膚面から注射を数箇所行います。術後の制限は特にありませんし、メークなども通常通り行えます。
副作用としては、局所注射による内出血の可能性、軽度の一過性頭痛.違和感などです。
ですから今週結婚式に招待されている、なんて方はもう少し前に予約を取られた方が無難と思います。
また、前額(おでこ)や眉間の施術により多少の表情の変化やまぶたの重さを感じる方がおられますが、大抵一過性です(効果も一過性であれば、副作用も一過性であるとも言えます)。
プラセンタ注射
プラセンタとは「胎盤」を意味する言葉で、この胎盤エキスの注射によってわずらわしい更年期の症状や美肌効果などがみられるということで50年以上前から使用されている製剤です。もともとヒトの胎盤にはタンパク質のもととなるアミノ酸がたくさん含まれており、このアミノ酸を補うことによって直接症状を改善したり、患者さんの潜在的な自己治癒力を高めたりするものと考えられています。
当院では厚労省で認可されたプラセンタであるメルスモンが施行できます。プラセンタ注射を定期的に受けることで、美肌効果や、ホルモンバランスの調整、更年期障害、抗アレルギー作用、免疫賦活作用が期待できます。
FAQ
- プラセンタ注射に副作用はありますか?
注射ですので、注射した場所が一時的に腫れたり熱をもったり、青あざになったり、痛みを感じたりすることがあります。プラセンタ注射によって今までに大きな副作用の報告はみられていませんが、厚労省の通達により、注射を開始したら献血は不可能ですので、そのことをご理解して頂いたうえでプラセンタ注射を開始していきます。
- 注射の打ち方は?
通常は1回1アンプルを皮下もしくは筋肉注射します。打ち始めは1週間に3回くらいを目標に2週間続けていただき、そのあとは1週間に1回程度のペースで継続されると効果が持続するといわれています。
ただお仕事などで時間がとれない方は最初から週1回という方もいらっしゃいます。
美容点滴
ニンニク注射に強力ミノファーゲンC(グリチルリチン、Lシステイン、グリシンなど)とグルタチオン(還元剤で活性酸素の除去にも働く)を配合することにより抗炎症、免疫調節、肝細胞保護、解毒、抗酸化に寄与する組成となっています
ニンニク注射
ニンニク注射:・「ビタミンB1(アリナミンなど)」が「ニンニク」に似たような臭い匂いを発することと、我々が「ニンニク」に対して「滋養強壮、疲労回復」というイメージを持っているので、それにダブらせたネーミングが「ニンニク注射」です。注射時にニンニク臭がありますが、これがたまらないという方、少し苦手という方もいらっしゃいます。ニンニク臭いは1~2時間持続しますが、ニンニクを食べているわけではなく、自分だけに感じる臭いですので心配なく。サプリなどのように内服としての摂取よりも静脈内投与の方が有効であり、かつ即効性を有します。 疲れた時などの栄養補給として注射を利用します。
男性型脱毛(AGA)
男性型脱毛症(AGA)は、壮年性脱毛とも呼ばれ、思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪がどちらか一方あるいは両方から薄くなり、徐々に進行していく状態のことを言います。たとえば円形脱毛症では、急激に脱毛が進行しますが、AGAでは徐々に進行していくのが特徴のひとつであり、額の生え際や頭頂部の髪の毛が細く短くなって、うぶ毛の様な十分に育たない髪の毛が多くなり、抜け毛が進行し頭皮が透けて見えるようになります。
【プロペシア錠とは】 AGAの人の頭皮部分に多くあるとされる男性脱毛症の原因物質である ジヒドロテストステロン(DHT)という物質が作られるのを抑える事で髪の毛の成長する周期を正常化し、抜け毛を抑えます。(2005年12月14日現在、プロペシア錠は世界60ケ国以上で承認され使用されています。)期待できる効果は抜け毛を少なくして、AGAの進行を遅らせることです。また一部の人では髪の毛が増える効果もみられます。
女性の薄毛
女性の薄毛診療は脱毛症診療のなかでもむずかしい分野です。前頭部から側頭部にかけて20%をこえる軟毛化を認めれば女性における男性型脱毛症です。思春期以前の女児にみられる前頭部中心の脱毛には、Marie Unna乏毛症があります。びまん性脱毛(全体的にということ)の場合、Hair pull試験で6本以上の成長期毛が抜けた場合、成長期脱毛であり、棍棒状の休止期毛であれば休止期脱毛である。これらのきっかけはさまざまであり、検索は容易ではありません。診断にはダーモスコピー観察や血液検査を追加することもあります。有効な治療選択は適切な診断が行うことに尽きますが、有用な治療が少なく難渋することもあります。