アレルギー性鼻炎
スギ花粉・ダニ抗原舌下免疫療法
舌下免疫療法は、いわゆる花粉症による対症療法(抗ヒスタミン薬や点鼻薬など)とは異なり、根治性があり、他の抗原感作を予防、喘息への移行を止めるなど可能性を秘めています。2014年・秋からスギ花粉症に対して、スギ舌下液(シダキュア)が使用できるようになりました。
また、2015年からはダニに対しての舌下錠も使用できるようになり、通年性のアレルギー性鼻炎の方に治療が可能になりました。
当院ではスギ花粉症の方には「シダキュア舌下錠」、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎の方には「ミティキュア舌下錠」を処方することができます。
治療に際しては以下のような注意がございます。
・アレルギー性鼻炎の抗原が本当にスギ、ダニであるかを確かめるための血液検査が必要です。
・現在のところ「シダキュア」については5歳以上、「ミテキキュア」については12歳以上が適応になること。
・管理不良な気管支喘息がある方は適応になりません(必要に応じて呼吸機能検査を行います)。
・抜歯後や口腔内の傷がある方は適応になりません。
・治療は最低2年間、可能であれば5年間と長期にわたる治療となるため、定期的に通院可能であること。
スギ花粉症であれば、当院では治療は6月~12月まで受付を致します。花粉の飛散時期に舌下免疫療法を開始すると副作用も強くでる可能性があるため、この時期を逃した方は来シーズンからの治療開始をお勧めしています。
舌下療法を初めて最初の花粉シーズンには効果がはっきり分からないかもしれません(花粉の飛散量がその年によってまちまちなため)。また、治療した全員に効果があるわけではなく、3人のうち2人に効果を認めるという統計データとなっています。
これらのことを十分に考慮して、治療開始を検討してみて下さい。
気管支喘息
気管支喘息とは?
喘息とは気道の慢性炎症、可逆性のある気道狭窄、気道過敏性の亢進、簡単に症状でいうならば繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難を特徴とした疾患です。
気道の狭窄には自然にあるいは治療により可逆性を示します。
気道の慢性炎症はさまざまな気道構成細胞(上皮細胞、好酸球等)や細胞からでる物質が関与します。
気道の炎症が長引くと、気道構造の変化(リモデリング)を起こし、可逆性であったものが非可逆性の気道狭窄となり、呼吸機能低下、気道過敏性を亢進させてしまいます。
気管支喘息の診断は?
喘息予防・管理ガイドラインでは以下のようになっています。
①臨床症状(発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳の反復)
②可逆性の気流制限
③気道過敏性の亢進
④気道炎症の存在
⑤アトピー素因
⑥他疾患の除外(大事です)
喘息には多様性があり、患者さん毎に臨床経過も異なるため、典型的な症状を欠くことも少なくありません。
また小児患者さんにおいては、強制呼気(力いっぱいはく)の協力が得られないことも多いため臨床症状に頼らざるを得ないこともあります。
当院ではより正確な診断、より患者さんに毎にそれぞれ適した治療(テーラーメイド医療)を目指して、以下のような機器も適宜使用して診断・加療していきます。
呼気NO濃度測定検査とは?
呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。喘息患者さんの気道には炎症があり、炎症性刺激により、主に気道上皮のNO合成酵素(INOS)が誘導され、大量のNO(一酸化窒素)が産生されています。そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を(つまり上記の診断基準の④について)知ることができるとされています。
呼気NOって具体的にどんな検査?
検査は簡単です。
6秒以上息を吹き込むだけです。
風邪をひいた後は、せきだけが治らずに続くケースが多く、患者の約30%は本格的な喘息に移行します。早期に適切な治療を始めれば移行の確率を下げられるため、ほかの慢性的なせきと鑑別できる呼気NO測定への期待は、大きく膨らんでいます。
呼気NOの評価方法は?
呼気NO 低値
(成人25ppb未満、12歳未満の小児20ppb未満)
o 気道の好酸球性炎症の存在はありません。
o 喘息症状のある患者さんの場合でも、ステロイドホルモン吸入薬の適応はありません
o 喘息以外の原因を探る必要があります。
呼気NO 中間値
(成人25~50ppb、12歳未満の小児20~35ppb)
o 気道の好酸球性炎症の存在はありますが、軽度です。
o 解釈には注意が必要です。
o 吸入ステロイドホルモン剤を開始し、呼気NO値の変化を追う必要があります。
呼気NO高値
(成人50ppb以上、小児35ppb以上)
o 明らかな気道の好酸球性炎症の存在があります。
o 喘息の症状がある患者には、ステロイドホルモン剤の吸入の効果があります。
o アレルギーの原因物質を探る必要があります。
料金は?
呼気ガス分析(呼吸器機能検査等判断料含む)
3割負担の方: 720円、2割負担の方:480円、1割負担の方: 240円。保険点数は検査(判断料込み)で240点です。
お子様(高校生年齢まで)は自己負担500円の範囲で検査出来ますので別途の料金は発生しません。
食物アレルギー
食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎
口腔アレルギー
運動誘発食物アレルギー